無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「あはは、環はわかりやすいな〜! いいじゃん、あたしは応援してるからね!」

「ううっ……」

「否定したい気持ちもわかるけど、認めちゃった方が楽になるよ?」

「…………」

「あたしもそうだったけど、自分の気持ちにうそつき続けても、苦しいだけじゃない?」

「そう、だね」

ほんとだね。

好きじゃないって意地張って、目を背けて。逃げてばっかじゃダメだよね。

「す、好き……高瀬のことが」

恥ずかしくて顔を手で覆う。

「うんうん、わかってたよ〜! 恋する乙女の顔だったし〜! がんばってね、応援してるから」

「だけどさ、早すぎない? この前まで西河のことが好きだったのに……」

一年片想いして、つい最近まで好きだった。

「そんなことないよ。恋は理屈じゃないんだし、落ちるときは一瞬なんだから」

「そ、そう、かな?」

「そうそう!」

理屈じゃない。

それはわたしもよくわかってる。

高瀬を好きな理由だってほんとわからないけど。

それでも、好き。

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