無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

あれから三日、高瀬の後ろの席に座りながらその広い背中を見つめる。

「じゃあ次の問題を上条ー、前に出てやってみろー!」

「へっ……!?」

わ、わたし?

やばい、ぼんやりしてて聞いてなかった。

ど、どうしよう。

どこのページのどの問題?

数学が壊滅的なわたしにとって、数式の羅列はもはや敵。

「どうしたー? 早く前に出てこい」

う、うわぁ。

やばい。

変な汗が背中に浮かんで、たじたじになる。

「たまちゃん」

テンパっていると、こちらを振り返った高瀬がコソコソ話をするように顔を近づけてきた。

「この問題だよ。答え、わかる?」

トントンときれいな指でわたしの教科書を弾く高瀬。

「わ、わかりません……」

わかるわけ、ありません。

わたしに難しい応用問題当てるなんて、鬼だー。

こんな難しいのわかるわけない。

高瀬の顔も近くて、まともに頭が働かないよ。

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