無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「わからないってお前なぁ、やる前から諦めてどうするんだ?」
「もはや呪文のようにしか見えないと言いますか、ほんと数字恐怖症なんで……」
「言い訳をするな」
ううっ。
とにかくやってみろと言われて渋々前に出たものの、解けるはずもなく。
結局解説しながら先生に教えてもらっただけだった。
「今度の期末はこれよりも難しい応用問題出すから、覚悟しておけよ。赤点取ったら冬休みはないからな」
「えー! そんなの聞いてないー!」
「クリスマスかかってんだけど〜!」
みんなからのブーイングが起こる。
き、期末テスト、本格的にやばいかもしれない。
「はぁ」
「どうしたの? 極端に青い顔して」
「き、期末テスト、やばいかなって……」
「あー、そんなこと?」
そ、そんなことって。
そりゃ高瀬は学年トップだから余裕なんだろうけど。
わたしにとっては死活問題なわけで。
冬休みに補習とか出なきゃいけないことになったらバイトができない。
ってことはお小遣いが稼げないわけで、穂波とか美保と遊んだりできなくなる。
クリスマスプレゼントだって買いたいのに……。
なんとしてでも補習だけは阻止しなきゃ。