無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「それよ、環。冬は恋が盛り上がるに相応しいイベントが盛りだくさん。クリスマスに誘ってみたら?」

「いやいや、誘えないよ。だって、クリスマスだよ?」

「なに言ってるの。高瀬くんは競争率が高いんだから、ここぞとばかりに誘わなきゃ」

過ごせるものなら一緒に過ごしたい。

でも誘う勇気がないっていうのが本音。

断られたらどうしようって、そればっかり。

「プレゼントとか用意しちゃってさぁ。告白してもらうのが一番いいけど、されなかったら環から告ってみるとか」

「ええっ!」

「そういうのが許される日だよ、クリスマスって。デートに応じてくれた時点で、結果は出てるようなもんだもん。成功率も高め! あたしが保証する」

「美保はポジティブすぎるよ」

「まぁ、人のことならなんとで言えるよね。自分のことは全然ダメ」

人のことはって……!

ちょっと!

クリスマス、かぁ。

誘ってみようかな。

なんて、少しだけ美保に感化されてるわたし。

あはは、単純。

「けどその前にテストだね。環、数学大丈夫?」

「高瀬が教えてくれるって!」

「へぇ、高瀬くんが?」

あのあとちゃんとした日取りも決まって、今週の土曜日に高瀬の家にお邪魔することになった。

家でする方が静かで落ち着くからって言われたんだけど、ちょっと緊張。

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