無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

そして連れて行かれたのはなんと、最上階の部屋だった。

そ、そういえば高瀬の家ってお金持ちなんだっけ。

最上階って、一番すごい部屋なんでしょ?

セレブしか住めないっていうわたしの勝手なイメージ。

ど、どうしよう。

部屋の前まできてさらに心臓が苦しい。ううん、緊張を通り越してもはや痛いよ。

ゴクリと喉を鳴らすと、高瀬がヒョイと顔を覗き込んできた。

「緊張してるの?」

「そ、そりゃそうだよ。するよ。だって男子の家って初めてだもんっ」

興奮気味に答えたら、高瀬は目を見開いてポカンとした。

少しの沈黙のあとぷっと小さく噴き出した横顔を、じとっと睨む。

「わ、笑うことないじゃん」

「だってたまちゃんがかわいすぎてさ。俺も初めてだよ」

か、かわい……?

「家に誰かを連れてくるの、初めて」

「う、うそだぁ……」

だまされないんだから。

「俺、家に人を呼ぶの嫌いだから、権ちゃんもきたことないよ」

「ほ、ほんとに?」

それなのに、わたしはいいの……?

そんなことを言われたら都合のいい勘違いをしてしまいそうになる。

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