無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
かわいらしくて少女のようなお母さんと紳士的なお父さん。
うんざり顔の高瀬と、緊張気味のわたし。
ダイニングの椅子に向かい合って座っている。
なぜだか高瀬は椅子をピタッと横付けしてきて、わたしのすぐ隣にきた。
「李音ちゃんと環ちゃんは、いつ頃知り合ったの〜?」
「えっと、同じ高校で」
そう言いかけたとき、太ももに置いてた手に高瀬の手が重なった。
ちょ、なにするの。
そっと横を見ると高瀬は前を向いて平然としている。
「いいわね、青春よね〜! わたしたちもね、高校のときに知り合ったのよ〜!」
「へぇ、そうなんです……かぁ!」
今度は人差し指でそっと手の甲を撫でられた。
指先が這う感覚にビクッと体が反応する。
親がいる前でなに考えてんの?
丸めていた拳を解いて高瀬の手を振り払おうと試みる。
だけど。
──ギュッ
逆に握り返されちゃった。
手を繋ぎながら会話するなんて高度な技術を持ち合わせていないわたしは、赤くなった顔をごまかすのに精いっぱい。