無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「朝練終わって飲み物買いにきたんだ。環ちゃんも?」
「あ、はい……」
「そっか。俺さ、ずっと謝りたかったんだ」
「え……?」
申し訳なさそうに眉を下げる渡瀬くん。
謝りたかった……?
合コンのときのことかな。
「軽い気持ちで誘ったりしてごめん。あのあと権ちゃんにめちゃくちゃ怒られてさ。環ちゃんはそんな子じゃないって言われちゃった」
「あ、そう、なんですか」
権田くん、わたしに謝ってくれたときはなにも言ってなかったのに……。
「ほんとにごめん」
「い、いえっ! もういいので」
少し怖かったけど、なにもなかったわけだし。
だけど苦手ではあるから、早く切り上げて教室に行きたい。
「お詫びに飲み物奢るよ」
「え?」
「ほんと反省してますってことで、拒否するのはなしね。選んで」
素早く自販機にお金を入れた渡瀬くんが、ボタンを押せとわたしに迫る。
「え、あの、でも」
「なに買おうとしてたの?」
「水だけど……でも、悪いので」
「水ね、了解」
──ピッ
ボタンを押したのはわたしではなく渡瀬くん。
取り出し口から水を取って手渡された。