無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「あれ? お、おはよ」
なぜか腕組みしながらとっても怖い顔でわたしを見てる。
そのせいか、階段の途中で足が止まった。
「どうしたの? 高瀬」
「どうしたのじゃないよ」
「え?」
なに?
わたし、なんかしたかな?
明らかに不機嫌そう。
「自販機で一緒にいた男と楽しそうだったね」
え……?
まさか、見られてたの?
「知ってる? 廊下の窓から自販機って丸見えなの」
「の、飲み物買ってただけだよ」
「やけに仲良さそうに見えたけど? あれってさ、合コンのときの男だろ?」
「そ、そうだけど……謝ってくれたんだよ。あの日のこと、ずっと悪いと思ってくれてたみたいで」
「ふーん。謝ってくれたから許したの? それで飲み物まで奢ってもらったってわけ?」
フンッと鼻で笑われた。
「の、飲み物はお詫びのしるしだって言うから」
「お詫び、ね。たまちゃんってそういうのすぐに許せるタイプなんだ? 飲み物なんかにつられて、すっげーバカみたい」
「なっ……!」
なんでそんなふうに言われなきゃいけないの。
「勝手にすれば?」
プイッと顔をそらして高瀬は教室の方へ行ってしまった。