無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「な、なにそれ……」
わたしが一方的に責め立てられる理由が、全然わからない。
わたしが悪いの?
許しちゃダメってこと?
あの状況でそんなこと言えないよ。
そもそもちゃんと謝ってくれたんだから、よくない?
なんで怒ってたのかさっぱりわからず、恐る恐る教室に行くと高瀬は机に伏せて寝ていた。
音を立てないようにゆっくり席に着く。
なんでわたしがビクビクしなきゃいけないの。
なんで怒ってんの?
同じ疑問が頭の中をぐるぐるぐるぐる。
授業が始まっても高瀬の背中からはピリピリしたオーラを感じて、それは昼休みになっても、放課後になっても続いた。
怒ると意外と長引くタイプなんだね。
対処法がわからないから、お手上げ状態。
だけどこのままだとわたしもモヤモヤするから──。
「ね、ねぇ、高瀬」
人がまばらな教室で小さく声をかけてみる。
だけどもちろん反応はない。
「ねぇってば」
「…………」
前を向いてこちらを振り返ることもなく、意地でも返事をしない気らしい。
いつもは『たまちゃん』って。
呼ばなくても授業が終わるたびに、ニコニコ顔で振り返ってきたのに……。