無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「た、高瀬……っ!」
気づくとわたしまで立ち上がっていた。
あちこち机にぶつかりながら、高瀬の背中を追いかける。
クラスメイトたちは『なんだなんだ?』って、まるで面白いものでも見るかのよう。
「あ、あの!」
振り返った高瀬に氷のような冷たい瞳を向けられた。
言葉を発していないのに、雰囲気とか表情だけでヒヤヒヤ。
高まった気持ちがプシューと音を立てながらしぼんでいく。
まだ、怒ってるんだ……?
それとももう、嫌われちゃったのかな……。
「なに?」
「え、あ、いや、べつに」
とうとう顔すら見れなくなった。
「高瀬く〜ん、早く〜!」
うつむかせた視線の先から、高瀬の気配がパタリと消える。
言いたいこはとたくさんあったのに、なにも言えなかった。