無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
ひと気のない体育館裏まで走って、そこでようやく足を止めた。
「うっ……ううっ」
ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
泣きたくなんかないのに、我慢しなきゃいけないのに……止まらない。
高瀬のバカ。
高瀬の、バカ〜……!
なんで追いかけてくんの。
指でそっと涙を拭う。
なんで?
西河のときだって、こんなに泣かなかったのに……。
しまいには鼻水まで出てきて、グズグズになった。
「たまちゃん……っ!」
ダダダダダッという忙しない足音がしたかと思うと、後ろからふわっと優しい腕に包まれた。
わたしの大好きなシトラスの香り。
誰かだなんて、そんなの考えなくてもわかる。
「や、やだぁ、離して……っ」
なんでこんなことするのっ。
恥ずかしくて、情けなくて、こんな顔誰にも見られたくなんかないのに。
「離さない」
「……っ!」
腕の中で動き回っていると、さらに強い力で羽交い締めにされた。