無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「呼んでくれないの?」
いつまでも黙ったままでいると、今度は眉を下げて悲しそうな顔。
わたしがこの顔に弱いって知ってて、わざとやってるのかな。
「呼んでくれないと、ショックで死んじゃうかも」
「えっ……!?」
そこまで?
「だからさ、早く。ね?」
そう言いながら、きれいな指先でわたしの唇をスッとなぞってくる。
「……っぉん」
「なんて言った?」
「り、おん……っ」
「聞こえないな」
ううっ。
楽しげな目をしちゃって、わざとだ。
わたしの反応を見て楽しんでる。
「李、音……くんっ?」
「くんはいらないよ」
「り、李音……!」
「へへっ」
ニコッてかわいく笑われて、プシューと音を立てるわたしの顔。
名前を呼ぶだけでこんなに苦労するなんて。
「よくできました」
そうやって笑いながら、また高瀬の顔が迫ってきて。
もう何回目のキスだろう。
恥ずかしくてまだまだ慣れない。
名前でだってまだまだ呼べそうにないけど。
パタパタと火照った頬を手で仰ぎなから、教室までふたりで歩く。
ううっ、なんだか高瀬がものすごくキラキラして見えるんですけど……。
なにこれ。
なんのマジック?
あれ、そういえばわたしたちって付き合ったんだよね?
わたしの認識まちがってないよね?
「クリスマスはデートしよっか」
あ、クリスマス!
「ま、真理ちゃんは?」
いいの?
「秒で断ったよ」
「うそ……」