無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「どーぞ、適当に座ってね」

「うん」

ベッドを背もたれにしながらラグの上にそっと座った高瀬は、その後も部屋をぐるりと見回した。

「狭くてごめんね」

「いや、全然だよ。あ」

ふと視線をあるところで止めた高瀬が小さく噴き出す。

「マンボウだ」

「これね、わたしのお気に入り。毎日一緒に寝てるの」

水族館に行ったとき、高瀬にもらったぬいぐるみのマンボウ。

枕元に置いて毎日眺めてる。

これを見ると高瀬の顔が浮かんで、ちょっぴり幸せな気持ちになれるんだ。

ぷって小さく噴き出された。

ガキッぽいと思われたにちがいないけど、なんでかな。今なら高瀬を許せちゃう。

「あ、あのさ、高瀬」

「んー?」

「勉強を始める前にひとつだけいいかな?」

「どうしたの? そんなにかしこまって」

「あ、あのね、わたしって高瀬の彼女でいいんだよね?」

あの日付き合おうとは言われてないし、わたしからも言っていない。

認識がちがってたら嫌なので、ちゃんと確認しておきたいところ。

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