無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「え、たまちゃんは今まで俺を彼氏だと認識してなかったの?」

「あ、いや、どうなのかなぁとぼんやりね」

「ぼんやり……?」

ピンと空気が張り詰めた。

どこで入るのか、そのスイッチは。

「言ってくんなきゃわかんないしさ? わたしってほら、鈍感だから」

「うん、そうだね。鈍感すぎるよ」

「……っ」

「そんなたまちゃんには、たっぷりわからせないとね?」

えっ……?

「なにを、かな?」

「俺の彼女だってこと」

妖しく微笑まれて、変なムードが漂う。

高瀬は向かい側に座るわたしの手をつかんで、こっちへこいと言わんばかりに引っ張った。

「俺の前に座って」

「へっ……?」

「早く」

む、無理。

恥ずかしすぎる。

固まっていると目の前まで高瀬の顔が迫ってきて、キスされた。触れるだけの短いキスに、鼓動が跳ねる。

「たまちゃんはここ」

あたふたしてたら、強制的に高瀬の真ん前にテーブルを向いて座らされた。

「さ、勉強しよっか?」

腰に手が回されて、わたしの肩に顎を乗せてくる高瀬にドッキドキ。

「……っ」

「プリント出して」

プリントを広げてシャーペンを握ったものの、目の前の問題に集中できるはずもない。

< 207 / 229 >

この作品をシェア

pagetop