無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「こんなことされたくないなら、簡単に俺を家に誘っちゃだめだよ」

「え?」

「俺だって男なんだからね?」

「うん? わかってるよ」

「…………」

そう答えたら、なぜかまた深いため息を吐かれた。

あれ?

わたし、なにかまちがったこと言ったかな?

「わかってないよね、たまちゃんはなんも」

「え……?」

首をかしげてポカンとする。

「もういいから、早く続きやって」

なんだろ、また急に素っ気なくなっちゃった。

大きく息を吐き出しながら頭まで抱えて。

もしかしなくても、相当呆れられてる?

こうやってそばにいても、高瀬のことがなにひとつわからない。

不機嫌なときはものすごくわかりやすいけど、いつもニコニコしてる人が急に静かになると、こっちまで冷静になるというか。

テストが近いせいで、ピリピリしてるとか?

とにかく、これ以上呆れられないように集中しなきゃ。

なんとか意識を勉強に向けて、プリントの山に取り掛かった。

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