無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「リオ、さっきのカッコよかったよ」

権田(ごんだ)勇気(ゆうき)、通称権ちゃん。

中学からのツレ。

「権ちゃんにカッコいいとか言われても嬉しくない」

「なんだとー、このー!」

帰り道で脇腹をつついてくる権ちゃんを、サッとかわす。

「はは。俺はさっきのでリオを見直したよ。あいつら、ちょっとたち悪すぎっ」

「まぁ、な」

「リオが言わなかったら、俺が言ってたわ」

なんで無意識に上条サンをかばったんだっけ。

俺はそこまでいいヤツなんかじゃないのに。

ただ上条サンがターゲットにされるのが面白くなかった。

ちょっと、いや、かなり、イラッとした。

その点権ちゃんはいいヤツだ。

中学のときからそばにいて、俺の家の事情を知りながらも普通に接してくれる。

御曹司とかおぼっちゃまとか、権ちゃんだけは俺をそんな目で見ない。

暑苦しいのが玉に瑕だけど、めちゃくちゃいいヤツ。

まぁ、わざわざそんなこと言ってやらないけど。

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