無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
それからさらに一カ月半後。
夏休み直前の体育の授業で、マラソンをしていたときのこと。
ギラギラと容赦なく照りつける太陽の熱に、クラクラして倒れそうになった。
これは、やばい……本格的に。
そう思いながらも、足を止めることなく真面目に走った。
あっつい、マジで。
こんな炎天下でマラソンとか、なに考えてんだよ。
電話がかかってきたとかで、授業中なのにいなくなるし。
教師がいないのをいいことに周りのヤツらはサボッてたり、ノロノロ歩いてるようなスピードだったり、輪になって話してたり。
真面目に走ってんのがバカバカしくなってくる。
ふと前を見たとき、茶色いふわふわのツインテール頭を見つけた。
上条サンじゃん。
おーおー、必死に走ってる。
思いっきり腕を振って、足を前に押し出して。
必死なくせに遅くて、ちょっと笑える。
ごめん、遅いからさ追い抜くよ?
ヒュンッと追い越し風を切る。
横目に見た上条サンは、腕で汗を拭いながら真剣な表情を浮かべていた。