無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

それからさらに一カ月半後。

夏休み直前の体育の授業で、マラソンをしていたときのこと。

ギラギラと容赦なく照りつける太陽の熱に、クラクラして倒れそうになった。

これは、やばい……本格的に。

そう思いながらも、足を止めることなく真面目に走った。

あっつい、マジで。

こんな炎天下でマラソンとか、なに考えてんだよ。

電話がかかってきたとかで、授業中なのにいなくなるし。

教師がいないのをいいことに周りのヤツらはサボッてたり、ノロノロ歩いてるようなスピードだったり、輪になって話してたり。

真面目に走ってんのがバカバカしくなってくる。

ふと前を見たとき、茶色いふわふわのツインテール頭を見つけた。

上条サンじゃん。

おーおー、必死に走ってる。

思いっきり腕を振って、足を前に押し出して。

必死なくせに遅くて、ちょっと笑える。

ごめん、遅いからさ追い抜くよ?

ヒュンッと追い越し風を切る。

横目に見た上条サンは、腕で汗を拭いながら真剣な表情を浮かべていた。

< 34 / 229 >

この作品をシェア

pagetop