無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
『んーっと……じゃあ、はい』
悩んで考えて迷った挙句、上条サンは俺に向かって手を差し出した。
なに?
つかまっていいの?
立たせてくれるってこと?
『つかまって……?』
面白いからちょっと乗っかってみる。
つかんだ手は思っていたよりも小さくて、今にも折れてしまいそう。
か弱い。
たしかにそんなイメージ。
俺の手を引っ張って引き上げようとしてくれてるけど、そんな力じゃびくともしない。
そんなんで立てるわけないからね。
でも上条サンの必死な顔が見れて満足。
上条サンのおかげってことにして、足に力を入れて立ち上がった。
だけど、やばい。クラリと激しいめまいがして、目の前が真っ暗になった。
『高瀬くん?』
とっさに体を支えてくれたであろう上条サンの声を聞きながら、遠くなりそうな意識を夢中で手繰り寄せる。
『ねぇ、高瀬くん、大丈夫?』
あ、たしかに声かわいい。
高瀬くんなんて呼ばれたら、ちょっとグッとくるな。
あー……でもやばい。
マジで。
『うー……ん』
無理、かも。
『と、とりあえず保健室行こっ! ほ、保健委員! あ、わたしだっ!』