無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
つかみどころ
──ピロリン
夜、ベッドに入ったときスマホが鳴った。
『穂波』という名前を見て、激しく鼓動が跳ねる。
そっとタップしてメッセージを開いた。
【環〜!お疲れー!明日の放課後空いてる?どっか寄り道して帰らない?話したいことがたくさんあるの】
話したいことって、西河のことだよね。
付き合いたてだから、きっと穂波は浮かれてる。
惚気話を笑って聞ける自信なんかない。
【ごめん、明日は予定があるんだ!】
いつもなら空いてる日の候補をいくつか送って、お互いに日にちを擦り合わせるんだけど。
会いたくない。今は会えない。
わかって、察して。
【いつなら空いてる?】
【ごめん、バイトもあってしばらく忙しい】
【そっか。だったら仕方ないね。また時間ができたら教えてね!】
穂波が悪いわけじゃないって頭ではわかってる。
それなのに……返信ができなかった。