無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
珍しく高瀬が声を荒げた。
「どっかぶつかってない? 大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
体が密着しているのがかなり恥ずかしい。
「痛いとこないの? 足挫いたとか」
「ないない、大丈夫」
こんなふうに心配してくれるなんて、意外と優しいじゃん。
「そ、よかった」
ホッと表情をゆるめた高瀬の甘い微笑みにドキッとした。
ありえないよ、どうして高瀬なんかに。
茶髪のふわふわした髪が風に揺れる。
シトラスのいい香りが漂ってきた。
無意識にドキドキしちゃう自分がすごくやだ。
「たまちゃんってフルーツみたいな甘い匂いがするよね」
鼻を近づけてスンスン嗅いでくる高瀬を怪訝に見上げる。
「前から思ってたけど、好きだな、この匂い」
「なに変なこと言ってんの」
やめてよ、高瀬のくせに。
そんなに甘い顔で、色気たっぷりにこっちを見ないで。
くっついているせいか、なんとも思ってなくてもドギマギしちゃう。