無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
高瀬は珍しいものでも見たかのように、まん丸い目を大きく見開いた。
ダメダメ、高瀬なんかに隙を見せちゃ。
キリッと口元に力を入れて気を引き締める。
「やばい……っ」
やばい?
なにが?
笑った顔が壊滅的にかわいくないってこと?
言われなくてもわかってるけどさ。
高瀬をスルーして、わたしはすかさずスタンプを送り返す。
バーカ。
文字だけのスタンプ。
高瀬は未だに目を見開きながら、口元を手で覆っている。
ほんのり赤くなってるのは気のせいだとして、そんなに驚かれたらこっちだってビックリだよ。
「あのね、わたしだって楽しかったら笑うし、悲しかったら泣くの」
「たまちゃんの新たな一面を見たよ。不意打ちの笑顔はほんと反則」
バーカ、バーカ、バーカ。
連打でスタンプを送りつけてやった。
すると今度は高瀬がお腹を抱えて笑い出す。
「ガキ」
「うるさい」
「でもさ、そんなところもすっげーかわいい」
か、かわいい……?
お兄ちゃん以外の異性に初めて言われたそんなこと。
でもきっと、高瀬は誰にでも言っている。
「じゃ、じゃあね、バイバイ」
スルリと交わして即退散。
これ以上一緒にいると高瀬にペースを乱されて、落ち着かなくなりそうだった。