無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
次の日、教室に着くと高瀬はすでにきていた。
後ろの席にカバンを置くと、待ち構えていたかのように高瀬が振り返る。
「おはよう、たまちゃん」
「おはよ」
まるでご主人様を待ってた犬みたい。
いつの間にこんなに懐かれたのかは、わからないけど……。
それでも朝からこんな笑顔を向けられて悪い気はしない。
「昨日は俺、ずっと返信待ってたんだよ?」
「え?」
「なんで返してくれなかったの?」
「スタンプだけに返信なんていらなくない?」
「いるよ!」
昨日、家に帰ってからスタンプが送られてきた。
スタンプのみのやり取りを適当なところで切ったんだけど、どうやら不満だったらしく、高瀬は唇を尖らせている。
「環〜、おはよう!」
「うん、おはよ」
「ねぇ、数学の宿題やった? 答え合わせさせてくれない? あたし、今日当たるんだ!」
朝から抜かりなくバッチリメイクの美保は、艶めく唇を歪ませた。
「やったけど難しかったから、合ってないと思う……」
めちゃくちゃ難しかったし、実はわたし、数学がかなり苦手。
前回のテストでも平均点をかなり下回っていた。