無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
一時間目が終わっても高瀬は戻ってこず、二時間目が始まるギリギリにようやく戻ってきた。
べつにね、意識してたわけじゃない。
前の席だから、嫌でも目に入ってくるんだ。
「ただいま、たまちゃん。待っててくれた?」
声を弾ませて振り返った高瀬の髪の毛が乱れている。
ネクタイだって結び方が変わっているような……。
あ、そっか。さっきまでと明らかにちがうのは、パーカーのチャックが開いてるってことだ。
服を脱ぐようないかがわしいなにかをしてたってこと?
やだやだ、汚らわしい。
プイと顔をそらして窓の外を見つめる。
「なぁお前なにしてたんだよ? 女の子と消えて戻ってこないなんて怪しすぎる」
「途中でさ、すっげー眠くなったから保健室で寝てたんだよ」
「はぁ? なんだそれ。どうせ女の子と寝てたんだろ?」
「それはご想像におまかせしとく」
高瀬はいい加減。
甘いルックスで笑っているだけで、意識せずとも女の子をその気にさせてしまう。
まんまと罠にかかったら、抜け出せないようななにかがあって。
ハマったら最後。
落ちたら危険。