無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「な、に言ってんの」
恥ずかしそうに顔を赤くして、モゴモゴ口ごもるたまちゃんを見るのが楽しい。
なんでキスしたかって、笑ってほしいと思ったのは本音。
あいつらが笑って幸せ報告しにきたときのたまちゃんは、見てるこっちが切なくなるほど悲しい顔をしてた。
あいつのせいでそんな顔をしてるのかと思ったら、なんかよくわかんないけどイラッとした。
だから、笑ってほしくて。
いつか、西河に向けてた笑顔を、俺に向けてくれる日が来ればいい。
なんて、そんなふうに思ったんだ。
だけど──。
たまちゃんは一向に西河に一途。
たまに窓からぼんやり虚ろな目でサッカーしてるヤツらを眺めてる。
西河って目立つもんね。
俺でもすぐにわかったよ。
あれは惚れるわ、うますぎる。
なんとかその切なげな顔を笑顔にしたくて、手を伸ばしてたまちゃんの髪を下からすくった。
ビクンと揺れる小さな肩。
明らかに警戒した表情での上目遣い。
完全に俺は、不審者扱い。