無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「なに?」

「思わず触りたくなった」

「や、やめて」

やっぱり笑ってはくれなくて、こんな方法じゃだめなのか。

じゃあどうしたら笑ってくれる?

西河のことなんて見ないでさ、俺のことだけ見てればいいんじゃないの?

「わたしもう帰るから。バイバイ」

スクールバッグを肩にかけて、たまちゃんはそそくさと教室を出ていった。

なかなか手強いな。

俺のやり方まちがってる?

試しにぐるりと教室の中を見回して、何気なく目が合った女子の顔をじっと見つめる。

五秒間じっと見て、そして最後にニコッ。

「!!」

その子はあからさまに俺から顔をそらして、バタバタと友達のとこまで走っていく。

興奮気味にバシバシ友達の肩を叩きながら、真っ赤になっている。

「やばいっ、高瀬くんにめっちゃ見つめられたんだけどっ! そんなことされたら惚れるって!」

「はいはい、よかったね〜!」

やっぱり、そうだよね。

他の子なら簡単に落ちるのに。

たまちゃんだけは、強敵。

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