無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
次の日。
「あ、あの、高瀬、くん」
冷たい風が吹き抜ける昇降口に着いたとき、待ち構えていた女子に声をかけられた。
「ああ、昨日の」
えーっと、誰だっけ。
俺に告ってきた子。
いちいち振った子の名前とか覚えてないや。
「真理です」
「あ、そうそう。真理ちゃんね」
モジモジしながらしおらしい態度で、こっちにまで緊張感が伝わってくる。
「で、なに?」
「あ、あの、やっぱりあたし、振られたけど高瀬くんのこと好きで……っ。付き合ってくれなんて言わないから、一度だけ遊んでくれないかな?」
潤んだ瞳で見つめられた。
こういう駆け引きは今まで何度もされてきた。
だけどみんな俺のことを本気で好きじゃないと思う。
だから『一度だけ』とか思い出作りみたいなことが言えるんだ。
「ごめん、無理」
「……っ」
ポロポロと涙をこぼす真理ちゃん。