無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「ど、どうしても?」
「うん、無理」
「そっ、か。わかった。ごめん、なさいっ……!」
真理ちゃんはバタバタ走って去っていった。
こんなに目立つ昇降口で明らかに注目されてるし、悪目立ちしたくないからいち早く退散するに限る。
「高瀬くん、ちょっとひどくない?」
「断るにしても言い方があるよね」
「冷たすぎるよ」
俺が悪いの?
「御曹司っていったって、家がすごいだけで高瀬くん自身は全然なのに」
ほとんどっていうか、まったく話したことないよね?
睨んだわけではないけど、チラッと視線を送ると女子の集団は蜘蛛の子を散らすように去っていった。
「高瀬、おはよう」
かわいい声がして振り返ると、そこにはたまちゃんが立っていた。