無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「あの、ね。高瀬。誰にでもそんなふうにベタベタしちゃダメだと思うの」

「どうしたの、急に」

上目遣いで見てきて、俺の理性はいとも簡単に崩れ去る。

「わ、わたしの心臓だって、持たないし」

え……?

なにその反応。

聞いたことのないような恥ずかしそうな声。

頬を赤らめながら、たまちゃんはチラチラと上目遣いを続ける。

やばい……。

マジで。

「誰にでもしてないって前に言ったじゃん。たまちゃんだけだよ」

「……っ」

耳の縁まで真っ赤。

赤くなった耳を見て、ふつふつしたものがこみ上げてきた。

抱きしめたい衝動に駆られたけど、きっと今それをするのはだめな気がする。

必死に理性を押さえこんで、せめてもの思いでたまちゃんの耳元に唇を近づけた。

「マジでたまちゃんだけだからさ」

こんなことをしてる自分が信じられない。

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