無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
「かして」
へっ……?
「重いでしょ? ひとりで運ばせてごめん」
あ、と思ったらスッと両腕が伸びてきて。
高瀬はわたしから奪うと軽々と腕を持ち上げた。
「俺があとで取りに行くって言ったつもりだったんだけど、先生に伝わってなかったみたい」
さすが男子。
わたしがあれだけ苦労したのを一瞬で……。
フッと軽くなった手に血液が通い出す。
さっき少しだけ指先が触れたよね……。
ちょっと緊張。
だけど高瀬は平然としてるから、わたしも何事もなかったフリをする。
「あ、ありがと……」
「いーえ。っていうか、なに見てたの?」
いつの間にか立ち止まっていたらしいわたしの横に立って、窓からそっと同じ方角を見る。
「あー……ね。わかった」
「へ、べつに、西河を見てたわけじゃ……」
「隠さなくてもいいから」
「……っ」
わたしってつくづくごまかすのがヘタすぎる。
もっとうまく息をするみたいにできたらいいのに。