無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
裏口から中に入り、ロッカールームでユニホームに着替えた。
平日でも夕食時はお客さんが多く満席になることも常。
最初は慣れないことばかりでぐったりの毎日だったけど、最近では仕事を覚えて楽しくなってきたところ。
フロアマネージャーからテーブル担当の場を伝えられて、オーダー機片手にお客さんの元へ。
あ、同じ高校の制服。
ざっと見八人ぐらいはいそうな、騒がしい男子の集団だった。
人数が多いとオーダーミスしやすいから気をつけなくちゃ。
「あれ? 上条?」
えっ?
ろくに顔も確認せずオーダーを聞いていると、突然誰かに名前を呼ばれた。
顔を上げるとそこにいたのは。
「さ、西河」
「お前、ここでバイトしてたの?」
う、わ。どうしよう。
まさか、こんなところで会うなんて。
落ち着け、普通に。今はバイト中なんだから。
「そうだよ。西河は部活帰り?」
我ながらうまく笑えたと思う。
「うん。今日はサッカー部の連中と」
「上条さーん、おーい!」
「あ、権田くん。え、サッカー部だったの?」
権田くんは高瀬の一番の友達で、よくふたりで一緒にいるところを見かける。
短髪頭のムードメーカー的な男子。
「うん、サッカー部だよ。イェーイ!」
テンションの高い権田くんに思わず苦笑いしてると、少し緊張がほぐれた。