無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
八人分のオーダー、さすが高校生男子たち。
ものすごい量の注文にあたふたしながら機械を操作する。
「お待たせ致しました〜! ハンバーグステーキセットのお客さま」
「はいはいーい、俺です」
順番に西河たちのテーブルに運び、残りふたり分となったとき。
「海鮮パスタとミートハンバーグドリアです」
「俺らふたりともミートハンバーグドリアだけど」
「えっ?」
あれ?
うそ?
もしかしてまちがえた?
オーダー票を確認すると、どうやらわたしが打ちまちがえたらしかった。
謝罪して作り直す旨を伝えると。
「えー、早くしてよ。俺、腹減ったんだけど。死ぬ〜!」
「すみません……っ!」
オーダーミスしないようにあれほど気をつけていたのに、わたしのバカ。
どうしよう。
「だったら俺のまだ手つけてないから食べていいよ」
ついさっき運んだばかりの熱々のドリアが入ったお皿を、スッと目の前の友達に差し出す西河。
「え、陽太ー。マジで? いいの?」
「うん」
西河……。
「かして。そのパスタ俺が食うよ」
「え、いや、作り直すよ」
だってパスタとパスタになっちゃうじゃん。
そういう顔をしたら、西河は察知したらしい。
「そっちとこっちのパスタでめっちゃ悩んだし、俺は全然余裕!」
西河は優しく笑ってわたしの手から半ば無理やりパスタを奪った。