無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

お願い……?

なんだろう?

かしこまった様子の権田くんを見て、わたしは上体を起こした。

「どうしたの?」

「実はさ、サッカー部のヤツがこの前バイトしてる上条さんを見て」

──ガタッ

「ちょ、権田くん。こっちきて」

権田くんの腕を引いて廊下に出た。

「バイトのことはあまり公にしてほしくないの」

「あ、ごめんごめん。気をつける。話の続きだけどさ、上条さんのことを気に入ったみたいなんだよね」

「ん?」

まったく話が読めない。

「ファミレスで一番文句言ってたヤツの顔、覚えてる? そいつがね、上条さんを気に入ったみたい」

「へっ……?」

「オーダーミスして申し訳なさそうに謝る上条さんが、謙虚でかわいかったらしいよ」

意味がわからない。

失敗して謝る姿がかわいかったって、なんだろう。

わたしとしては必死だったし、好かれる要素なんてないんだけど。

「今度一緒に遊ばない? 合コンしようよ、上条さんの友達も誘ってさ」

「合コン……?」

引きつるわたしの顔を見た権田くんにポンと肩を叩かれた。

「ま、そんな深く考えないで、軽く捉えてよ。それとも好きなヤツとか、彼氏とかいるの?」

好きな、ヤツ……。

小さく左右に首を振る。

< 80 / 229 >

この作品をシェア

pagetop