メーティスとホームズの子孫

「ここにいるジョン・H・ワトソン先生と、ワトソン先生の診療所で働いている看護師の胡桃沢和香さんが助けてくれたんだ」

透がそう言うと、ジョンと和香は微笑み、「気分は悪くないですか？」と訊ねる。玲奈は「ありがとう、ございます。大丈夫です」と答える。

「ならよかった」

ジョンと和香がそう言い、透たちも「心配した〜」と口にする。玲奈は「ごめん。ロンドンに行くのが楽しみすぎて仕事をしすぎたみたい」と言った。その時、玄関のドアが開く音がする。

「もしかして、帰って来たのかな」

「どうしよう！夕食の材料があったかわかりません」

ジョンと和香が慌て出し、透は「どうされたんですか？」と訊ねる。和香が「もう一人の同居人が帰ってきたみたいで……」と困ったように言った。その刹那、リビングの扉が開かれる。

「わっ……」

思わず透は呟いてしまった。入ってきたのは、高身長で黒い髪に緑の目の華やかな顔立ちの男性だった。男性はチラリと透たちを見つめ、「お客さんかな」と呟く。