メーティスとホームズの子孫
三　秘められた感情
メアリが亡くなり、パーティー会場には警察の黄色いテープが貼られ、多くの警察官がやって来た。

「ホームズ、お前何でこんなところにいるんだ？」

ロンドン警視庁の警部であるレストレード警部がシャーロックにからかうように言う。シャーロックは「うるさい！」と顔を背けた。

「えっと……お知り合いですか？」

言い合う探偵と警部を見て透が言うと、「事件をよく持ってきてくれるんです」と和香が教えてくれた。

「とりあえず、パーティー参加者全員の話を聞く。まずは君からだ」

グレッグソン警部がパーティー参加者に言い放ち、緊迫した空気が流れる。透の胸にも緊張が走った。まるで自分が罪人になったかのような気分になった。

「警部さん」

緊迫した状況の中、凛とした声が響く。玲奈の声だった。透たちは全員玲奈の方を見つめる。

「私から話を聞いてほしい。さっさと終わらせて。私も話を聞きたい人がいるから」

玲奈のその言葉に、シャーロックも「奇遇だな。僕もだ」と頷いた。二人の警部は驚いた目を向ける。
< 23 / 35 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop