(短編)初恋オムライス
いつのまにか、硬かった私の表情は緩んでいたし、肩の力も抜けていた。


「リラックスしていこう。くるみちゃんはYADORIGIのことを誰よりわかってるし大好きだろ。お客様にも心のこもった接客ができるはずだよ」


「は、はい」


そうか、彼がここまで言ってくれているんだから、やってみようかな。


なぜだろう。彼に出来るよって言われたら足のつま先から頭のてっぺんまで力が少しづつ湧いてくるような気がした。


だけど、まだ少し不安で彼を見上げた。


「大丈夫だよ。何かあったら俺に頼ってくれていいから」


「ほ、ほんとに?」


「うん、助けてってサインくれたら秒で助けにいくから」


「え、秒で?」


「うんうん。俺に任せろ」


「でも、サインってどうやって?」


「そうだなあ、ウインクでもして」


彼はそう言って、綺麗な顔でウィンクしてみせるのでクスクス笑ってしまった。


「なんだったら変顔してくれてもいいよ」


「もうっ、あっくんたら」


ふふふって、彼と目を合わせて笑いあった。彼が私をリラックスさせてくれようとしてくれているのがわかって嬉しかった。


よしっ、がんばるぞっ。
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