（短編）初恋オムライス
私の乗る電車がプラットホームへ入ってくるっていうアナウンスが聞こえた。


「あ、くるみちゃんの電車が来るみたいだね」


「でも、あっくんの話は？」


「いやいいんだ。やっぱり今日はやめておくよ。
今度会う時でいいから。そんなに急ぐ話でもないし」


「そっか。じゃ、送ってくれてありがとう」


「うん。気をつけてね」


彼に手を振って急いで、改札機に定期券をかざした。
振り返ると、彼は優しい表情で私を見送ってくれていた。


あっくんは、たしか電車ではなくて徒歩でいつも反対方向に帰るはずなのに、わざわざ遠回りして駅まで送ってくれたんだ。


「あっくん」


しばらく会えなくなる。突然聞かされた事実にまだ頭が追いついていかない。
これまで、シフトの関係でたまに会えない日はあったけど1日おきには顔を合わせていたのにな。
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