(短編)初恋オムライス

彼に見つめられると味覚が変になる

(彼に見つめられると味覚が変になる)


「いただきます」


小さい声で言って、少し遅めの昼食のオムライスを食べ始めた。


プルプルの玉子にスプーンを入れると中のチキンライスのオレンジ色が見えて、一気にテンションが上がる。


ここはスタッフ専用の休憩室で、テーブルがいくつか並んでいる。


私以外にも何人か食事をしていたけれど、みんなからは離れたところで1人で食べていた。


んー、ふんわりしてて最高に美味しい。


甘さの中にほのかな酸味が絶妙に配合されていて口の中が、幸せで満たされていく感じ。


やっぱりこのお店のオムライスは最高。本当に、こんな美味しいものを初めて作った人は天才だよ。


一口めを食べ終わっただけで、心も顔もフニャフニャにとろけそう。


二口めを口に運ぼうと口を大きく開けたその時。

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