（短編）初恋オムライス
「くるみちゃん、こっちで一緒に食べようよ」


浅野くんに声をかけられて、オムライスがのどに詰まりそうになるくらいにびっくりした。


ングッ


声のした方に恐る恐る顔を向けると、目を細めて私を見ている浅野くんは、白い歯を見せて笑っている。その爽やかな笑顔がまぶしくて直視できないくらいに胸がドキっとした。


「ね、こっちにおいでよ」


思わず、失礼にも首を横に振ってしまったのだけど、彼はそんなのお構い無しに近づいてくる。


ううー、私に構わないでください。


1人で食事をして寂しそうに見えたのか、彼は私の食べていたオムライスのトレーを運んでみんなのところへ持っていってしまう。


ああ、どうしよ、でも仕方ないか。


断ることなんてできないし、しぶしぶみんなの食べているテーブルへ移動する。

< 8 / 57 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop