後輩くんはワンコ時々オオカミ
戯れるように
涼太の頭を撫で回していた私の腕が
後ろから伸びてきた手に捕まった
「「え?」」
驚いて振り返ると、そこには
ものすごく不機嫌な顔をした飯田がいた
「なにやってんの?」
初めて聞く飯田の低い声に戸惑う
「コイツ・・・なに?」
飯田の不機嫌な理由が分からなくて
「ちょ、っと離してよ」
掴まれた腕を振り払う
「なに?どうしたの?飯田」
こんな飯田見たことがなくて
戸惑う気持ちが距離を取る
「眞子先輩、この人」
妙な雰囲気に蹲み込んでいた涼太が立ち上がって
半身前に出て庇うような形になった
「あ、うん、同じクラスなの
体育祭の委員が同じでね」
飯田の説明をすると
「同じクラス・・・なんですね?」
「うん」
そう言った途端
「同じクラスだけじゃない!
俺は絶賛雨宮を口説き中の幼馴染みだ!」
被せ気味に割り込んでくるから
「「は?」」
涼太と同時に驚いて
飯田を見つめる
「幼馴染みって・・・
意味違うくない?」
確かに幼稚園から今までずっと同じクラスだけれど
それって幼馴染みって言うのだろうか?
驚きを隠せない私に
「モモ組さんからずっと同じクラスなんだから
幼馴染みの腐れ縁だろうが」
飯田はいつものように得意気に言い放つとニッコリ笑った
「アンタ馬鹿?」
言いたいことは沢山あるけれど
それに時間を取られることが面倒だと
話をバッサリ切り落とす
「付き合ってらんないわ
アタシ帰るからね、じゃ」
鞄を掴むと
「涼太もまたね」
颯爽と帰るつもりだったのに
「あ、眞子先輩、待って」
今度は涼太に腕を掴まれ
「・・・え?」
あれよあれよと言う間に
そのまま強引に教室から連れ出された