後輩くんはワンコ時々オオカミ
「出来た」
結局、カウンターの椅子に腰掛けて
ずっとおしゃべりしていた涼太は
「凄いです!眞子先輩!」
完成したオムライスを見てパチパチと手を叩いた
「並べてくれる?」
「はい」
オムライスとサラダ
インスタントのコーンスープを渡すと
カウンターに並べてくれた
私もキッチンから出て隣に座ると
一緒に手を合わせた
「「いただきます」」
久しぶりに誰かと食べる食事は
なんだか嬉しくて
「美味しい」と何度も何度も言って
スプーンを口に運ぶ涼太を見ているだけで
また頭を撫でたくなった
「・・・ん?」
スプーンを口に入れたまま固まった涼太
「なんか、涼太可愛い」
椅子に座っている所為で
涼太の頭が近くて都合いい
ご飯を食べているのもそっちのけで
頭を撫でていると
動かないままの涼太の顔が
真っ赤に染まった
「・・・ん?・・・涼太?
え?・・・もしかして熱?」
雨に打たれた所為で風邪をひかせちゃったかもしれない
慌てて立ち上がると
涼太はスプーンを咥えたまま私の腕を掴んだ
「へ?」
「まっへ」
「?」
「待ってください眞子先輩」
「ん?」
「熱じゃありませんから」
「え?だって・・・涼太の顔
真っ赤だよ?さっきの雨で・・・」
そこまで言うと掴まれた腕が引かれ
立ち上がった涼太の腕の中にギュウと閉じ込められた
「・・・っ」