後輩くんはワンコ時々オオカミ
ピンポーン
翌日、お昼を少し回ったところで
インターホンが鳴った
モニターを見ると
「涼太」
画面いっぱいに涼太の顔が映っていて
通話ボタンを押した
「どうしたの?」
(午前中バスケの練習だったんです)
・・・?だから?と続けようとしたタイミングで
(眞子先輩と遊びに行こうと思って)
「へ?」
(とりあえず自動ドア開けてください)
「あ・・・うん」
昨日約束したかな?なんて思いながら
【解錠】ボタンを押した
「え・・・っと」
リビングをグルリと見回してから
玄関へと向かう
鍵を開けて扉を開いたタイミングで
エレベーターが止まった
「眞子先輩」
少し小走りで駆けてきた涼太は
部活終わりだというのに私服姿で
Tシャツとジーンズのラフなスタイルなのに
雑誌の中から抜け出てきたかのようにカッコよく見えた
「昨日約束したっけ?」
「いいえ、してませんよ?」
「・・・へ?」
鳩豆顔の私の頭をポンポンと撫でると
どうぞとも言わないうちに
「おじゃましま〜す」
涼太は勝手に中へ入って行った
「ちょ、待って涼太」
慌てて追いかけてリビングに入ると
「眺めが良いですね」
涼太はベランダに面した大きな窓に貼り付いた
「だね」
ベランダの手摺りの向こう側に視線を移すと青い空と街並みが見えた
目の前に同じ高さの建物がないからか
眺望の良さが際立つ
「俺の部屋、二階だから
全然眺め良くないんです」
そう言った涼太は耳が垂れているように見えて
なんだか無性に触れたくなった