後輩くんはワンコ時々オオカミ


「いつでも見に来て良いよ」


そう言って手を伸ばして頭をくしゃっと撫でる


「良いんですか?」


途端にブンブン振る尻尾が見える涼太が可愛くて


背伸びしたままワシャワシャと撫で回してしまい

バランスを崩した


「キャッ」


「危ないっ」


涼太の声がした途端強い力に引かれて
倒れることはなかったけれど


「・・・っ」


「眞子先輩は危なっかしい」


次に耳元で聞こえた声に
また抱きしめられたことに気付いた


「涼太・・・離れて」


恥ずかしくて声を掛けたのに


「ちょっとだけ」


ギュッと抱きついた涼太は離してはくれなかった

・・・ヤバイ
心臓がまた大騒ぎしてる

強く打つ鼓動に合わせるように
頬に熱が集まってくる


「・・・涼太」


小さな声で名前を呼ぶと


「ん?あ〜、じゃあ」


やっと離れてくれたと思ったら


「そそっかしいですね」


ククッと喉を鳴らして笑われた


・・・トクン


なに?


中途半端に見上げた目線の先には
三年前にはなかった喉仏があって

それが動く様子を見ているだけで

なんだか不思議な感覚になる


「ん?眞子先輩?」


その視線に気付いたのか
涼太は首を傾げて視線を合わせてきた


「・・・っ」


近い近い近い近い・・・

大人びた涼太を認識した後で
この距離はダメだ


慌てて後退りすると


「眞子先輩、真っ赤ですよ」


自覚している頬の熱を指摘されて


「着替えて、くるっ」


誤魔化すように逃げ出した










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