後輩くんはワンコ時々オオカミ


「眞子先輩は苺好きですよね」


「そういう涼太はバナナね」


フードワゴンが並ぶ一角で
フリーのテーブル席に座る

手に持ったクレープは
私が苺クリームで
涼太はチョコバナナクリーム


確か中学の頃にも
大勢でクレープを買ったことがあったな〜と思い出す

その時も涼太はやっぱりバナナで

そういえば・・・
練習中の補食に涼太はゼリーとバナナだった


・・・ブッ


バナナを思い出しただけで吹き出してしまった


「眞子先輩?」


「・・・ん、っと、ね、クッ」


おかしな要素なんてないのに込み上げる笑いを止められなくて


堪らず吹き出した



「・・・?」


クスクス笑続ける私を見ながら
ポカンと口を開けた涼太は

笑い続ける私に最後はつられてしまった








「ごめんね」


「全然、平気です」


本当なら駅から電車に乗って帰る涼太は
やっぱり私を送ると言い張り

こうして駅前大通りを手を繋いで歩いている


マンションまでは徒歩10分程度だから
お喋りしてたら、あっという間に着いてしまう

たったそれだけの距離なのに
私の鞄を離さない涼太のお陰で

いつもより楽ちん


「今日は買い物もないんですよね?」


「うん」


「もう家から出ちゃダメですよ?」


「うん」


「戸締りもシッカリしてくださいね」


「ブッ」


「眞子先輩?」


「ごめんごめん、だって〜
涼太ってお母さんみたい」


心配性かと吹き出した私を見ながら
涼太は恥ずかしそうに眉尻を下げた




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