後輩くんはワンコ時々オオカミ
ワンコ大好き
【マンション前で抱き合ってんじゃないわよっ】
怒りのスタンプと一緒に届いた知夏からのメッセージに顔が火照ってきた
どこから見ていたんだろう
そう思っていると
【バスから見えた】
メッセージが追加された
「エェーーーーーーーーッッ」
うちのマンションは大通りに面していて
そこはスクールバスの路線上だ
登下校時は増便するから
見られていてもおかしくない
とりあえずガックリ項垂れたスタンプを押してみる
【明日詳しく教えて貰うわよ】
返ってきたのは予想通りのもので
ニヤリと笑うスタンプまで並んでいた
「ハァ」
根掘り葉掘り聞かれるのは間違いない
知夏には教えて欲しいことも聞きたいこともあるから
想定の範囲内なんだけど
知夏が見ていたということは・・・
噂の的になることを想像して肩が震えた
* * *
ーーーそして翌日
涼太と一緒にスクールバスを降りたところまでは良かった
そこから・・・
顔が上げられなくなった
「ほら、アレよ」
「なになに?」
「一年の古崎君と三年の雨宮さん」
「雨宮も遂に、か」
「何よ!古崎君を誑かしてっ」
ただ歩いているだけなのに
ヒソヒソと聞こえてくる声に
浮かれていた昨日の自分が恨めしいとさえ思う
それなのに・・・
「眞子先輩?お昼はまた迎えに行きますからね」
周りの声なんて聞こえていないみたいに
普段通りの涼太は笑顔を向けてくる
「・・・う、ん」
ここで断ったら負けた気がして踏み止まった