後輩くんはワンコ時々オオカミ
「食後のデザート」と嬉しそうにプリンを二個カゴに入れた涼太
ブンブンと大きく振る尻尾が見えるようで
なんだか私も嬉しくなる
買い物が終わって更に荷物が増えたのに
相変わらず涼太は涼しい顔して全部持って
私は手ぶらのまま涼太と手を繋いだ
「楽しみ」
「ん?」
「眞子先輩にご飯作ってあげるの
楽しみだな〜って」
ニコニコ笑う涼太につられて
「私も」って笑顔になる
マンションまでの僅かな距離が
デートみたいで幸せな気分だった
「キッチン借りますね」
「うん」
涼太がキッチンに入るとすぐ
ベランダに出て洗濯物を取り込む
夕暮れの空を見ながら
なんだか温かい気持ちになった
『好き』って
楽しくて、嬉しくて
あったかくて・・・ちょっぴり苦しい
そんな気持ちに気づかせてくれた涼太に
「好き」
小さく呟いてみる
「・・・っ」
少し離れているのにその声を拾っただろう涼太は
こちらを向いて穏やかに笑っていた顔を一瞬で真っ赤にした
「・・・ブッ」
なんだろうこの動物っ
可愛くて仕方ない
吹き出してしまった私を
真っ赤な顔のまま小さく睨む涼太に駆け寄ると
「涼太!屈んで!」(お座り!)
突然のことに驚きながらも
屈んでくれた涼太
「涼太ぁ〜」
髪をクシャクシャにしながら
頭を撫で回すと
驚いていた涼太の顔が
目を細めてされるがままになる
背が高くって不便だな〜って
そんなことを思いながら
ワシャワシャと撫でると
「脱線させてごめんね?」
ソファの上へ投げた洗濯物を取って
逃げるように寝室へと飛び込んだ