後輩くんはワンコ時々オオカミ
ワンコの苦悩
第二回体育祭実行委員会のお知らせ
朝イチで担任から渡されたメモを
見つめていると背後から声がかかった
「雨宮、手繋いで行くかぁ?」
聞こえた飯田の声がいつも通りで
「・・・行くわけないじゃん」
反応が僅かに遅れた
「ノリが悪りぃな〜」
ハハハと笑った飯田に
なんだか“ごめん”と思っていたことが申し訳なくなった
振られた上に謝られても
泣いてる子に石を打つけるようなもの
それを飯田の態度で気付くなんて
私ってホント失礼な奴だ
「ありがと、飯田」
聞こえないくらいの小さな声を出したのに
「開き直りの早い俺様に感謝したか」
飯田は小さな声で返してくれた
14年も同じクラスの“幼馴染み”だから
大切な人には違いない
「感謝してる」
迷いなく顔を上げると
「お、おぅ」とそっぽを向いた
いつもと同じ飯田の態度にフッと笑って
いつもと違って耳が赤い飯田に
ちょっぴり泣きそうになった
。
放課後
涼太が教室まで迎えに来てくれて
並んで委員会へ向かう
途中ヒソヒソと声は聞こえてきたけれど
気にしないように前を向いた
「眞子先輩、今日・・・」
「ん?」
「委員会が終わったら少しだけ待っててもらえますか?」
「どうしたの?」
「部室の掃除当番なんです」
「あ〜、そっか、先に帰ってようか?」
「ダメ!それはダメです!
ソッコー終わらせるので待っててください」
「・・・じゃあ、待ってる」
「絶対ですよ?」
「うん」