後輩くんはワンコ時々オオカミ
駅前の雑踏を抜け出して
大通り沿いを手を繋いで歩く
日課となった眞子先輩のマンションへの道も
徒歩10分とちょうど良い距離で
眞子先輩と一緒ってことがデートみたいで楽しくもあった
お茶に誘って貰ったから
デザートは俺が買うつもりでミニスーパーへと立ち寄る
コンビニより少し広いだけのそこは
夕方の混雑で並んでゆっくり買い物できそうもなくて
眞子先輩には待っててもらうことにした
「眞子先輩、ここで待ってて」
「うん」
繋いだ手を名残惜しい気分で外せば
「甘いのお願い」
眞子先輩の上目遣い攻撃がきた
「了解っす」
たったそれだけで気分が上がった単純な俺は
弾むようにミニスーパーの中へと入った
目的の小さな冷蔵スイーツが並ぶコーナーまで迷いなく進んで
それらを眺めて悩むこと数秒
ひとつ余分に三つ手に取ると急いでレジの列に並んだ
“何買ったの?”って袋を覗き込んで笑う眞子先輩を想像しながら並ぶ列は
いつもより苦痛ではなくて
俺にとっては寧ろ楽しい時間だった
だけど・・・
外で待っていた眞子先輩は
それとは真逆の不快な時間を過ごしていたことに気づいたのは
ミニスーパーを出てからだった
side out