ロンド ~壮馬
夏美は 樹達とも すっかり 仲よくなっていた。
専務の樹は 子煩悩な 愛妻家だった。
長男の陸君は 2才の 可愛い盛りで 恭子のお腹には 二人目の 赤ちゃんがいた。
「駄目だよ、恭子。そんな物 持ったら。」
恭子を労わる樹に、
「タッ君は 恭子ちゃんに メロメロだから 気にしないでね。」
と絵里加が 教えてくれる。
「何か意外です。」
夏美が 驚いた顔で 樹達を見ると、
「ナッちゃん。会社で 俺のこと バラしたら 減俸だからね。」
と樹は言う。
「えっ。それって、職権乱用ですよね。」
すっかり 打ち解けた夏美は、明るく笑った。