ロンド ~壮馬
「いつもすみません。本当に 助かります。」
夏美が お礼を言うと、壮馬は 驚いた顔で、
「こちらこそ、ありがとうございます。相田さんの指示は いつも わかりやすくて。僕でも 役に立てることが 嬉しいです。」
と謙虚に言った。
壮馬が 入社した翌年は、研究室に 新入社員は 配属にならなかった。
夏美は 引き続き、壮馬と組んだまま 仕事を続けていた。
入社3年目に なった夏美は、少しずつ 開発にも 携わるようになっていた。
「廣澤さん、どう思います?」
夏美は 上司に話す前に 壮馬の意見を 求めてしまう。
「いいと思います。ここだけで ビスの数が 随分減りますよね。ここ、少し 勾配を付けたら どうですか?」
壮馬も 前向きな意見を 言ってくれる。
壮馬の意見は 正確で いつでも 参考になった。