ロンド ~壮馬

「ナッちゃん。二人のときは ナッちゃんって 呼んでもいい?」


壮馬は 夏美の髪に 顔を寄せて聞く。

「うん。でも恥ずかしい。」

壮馬の胸は 心地よくて。


数時間前までは ただの後輩だったことが 信じられない。


こんなに急に 変わってしまう自分に 夏美は 戸惑っていた。
 


「俺のことも 壮馬って 呼んでね。」

壮馬は 夏美を 抱き締めたまま、話し続ける。
 

「えー。呼べないよ。」

夏美は 壮馬の胸から 離れずに言う。
 


「大丈夫。慣れだから。ねえ ちょっと呼んでみて。」

壮馬は言って、夏美を離す。
 

「壮馬。うーん、呼びにくい。壮馬君。壮馬君がいい。」

夏美が俯いて言うと、
 

「姉貴みたいだ。」


と壮馬は笑う。
 


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